どう結婚に運ぶか

アルコールの力も手伝って、そのあと何かいろいろしゃべったような気がするが、今ではすっかり忘れてしまった。ぼくにとって、その夜の思い出はけっして悪くなかったのだが、しかし、実際には、それから後のほうが大変だった。どう大変だったかについては、いずれゆっくり触れる機会があると思うが、結婚などというものは、男が女にプロポーズして、それを女が受け入れて、それでなにもかもめでたしめでたしというわけにはいかない・これがお見合いだったら、「太郎や、このあいだの娘さんどうだい」「そうだね。まあまあじゃないの」「ということは、結婚してもいいということかい」「まあね、別に悪くないんじゃないのかな」などと、気のあるようなないような顔をして威張っていれば、双方の親が適当に相談し合って結婚式までことを運んでくれることが多いが、うっかり単独スチールのプロポーズなどしようものなら、あとの段取りはすべて自分たちの手でしなければならない。当然といえば当然だが、プロポーズするからにはそれだけの覚悟が必要だ。見合いにくらべると、いくらか面倒なことが多いかわりに、それだけ当人たちの自覚をうながし、結果からみればいいことになるのだろうが、なにせ気苦労なことが多い。その第一が両方の親の了解を得ることだ。新しい出会いがで、あったらここで紹介したことを気にしてみてください。ぼくのほうは父が亡くなり残っているのは母だけだったので、さほど面倒ではなかったが、女房のほうは両親とも健在で、しかも家が神社(代々木八幡)で、彼女は一人娘ときているから、いったいどうやって話をもって行こうかと随分苦労した。

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